Trotter分解

Trotter分解

執筆済 量子シミュレーション

交換しない演算子の指数関数を、各項の指数関数の積で近似する手法。

e−i(A+B)t≈(e−iAt/ne−iBt/n)n

n→∞ で厳密(Lie-Trotter の公式)。

誤差#

1 次の Trotter 分解の誤差は

‖e−i(A+B)t−(e−iAt/ne−iBt/n)n‖=𝒪(t2‖[A,B]‖n)

交換子の大きさが誤差を決める。 [A,B]=0 なら分解は厳密になる。

高次の公式#

対称化すると精度が上がる(2 次の Suzuki-Trotter)。

e−iAt/2e−iBte−iAt/2誤差 𝒪(t3/n2)

Suzuki の再帰的構成により任意の次数が作れるが、 高次ほど 1 ステップのゲート数が増えるので、 総ゲート数が最小になる次数を選ぶことになる。

量子回路での意味#

各 e−iHkt は、パウリ項なら CNOT で挟んだ回転ゲートとして実装できる。

CNOT ... CNOT — Rz(2θ) — CNOT ... CNOT

Trotter ステップ数を増やすと精度は上がるが、 回路が深くなりノイズが増える。 NISQ 期には最適なステップ数が存在し、 それ以上刻むと誤りが精度改善を上回る。

近年の理解#

Childs らは、実際の Trotter 誤差が 最悪ケースの見積もりよりずっと小さいことを示した。 物理的なハミルトニアンでは交換子の構造が効くためで、 Trotter は理論上の劣位ほど実用上不利ではない。

参考文献#

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