量子シミュレーション
量子系の振る舞いを量子計算機で再現する。Feynman が量子計算機を構想した動機であり、最有力な応用先。
量子系の振る舞いを量子計算機で再現する。 Feynman が 1982 年に量子計算機を構想した、そもそもの動機。
Feynman の議論#
量子系を古典計算機でシミュレートすると、 状態の記述に 個の複素数が要る(テンソル積)。 指数的に増えるので原理的に無理がある。
ならば「量子系を量子系でシミュレートすればよい」というのが Feynman の提案。 自然が量子的に計算しているなら、同じ規則で動く装置を使えば効率的なはず。
2 つの方式#
| 方式 | 内容 |
|---|---|
| デジタル | ゲートで を組み立てる。汎用 |
| アナログ | 目的の を持つ物理系を直接作る。専用だが実現しやすい |
冷却原子や超伝導回路によるアナログ量子シミュレータは すでに古典計算が困難な領域の実験を行っている。
なぜ有望なのか#
他の量子アルゴリズムと違い、 入出力の問題が比較的軽い。
- 入力 … 物理的に自然な初期状態を用意すればよい
- 出力 … 相関関数や秩序変数など、少数の観測量で足りる
HHL のように 「結果を全部読めない」問題に当たりにくい。 量子計算の最初の実用的応用として最も期待されている。
参考文献#
- Richard P. Feynman. Simulating physics with computers. International Journal of Theoretical Physics 21, 1982. https://doi.org/10.1007/BF02650179
- Iulia M. Georgescu, Sahel Ashhab, Franco Nori. Quantum simulation. Reviews of Modern Physics 86(1), 2014. https://doi.org/10.1103/RevModPhys.86.153
- Michael A. Nielsen, Isaac L. Chuang. Quantum Computation and Quantum Information. Cambridge University Press, 2010. https://doi.org/10.1017/CBO9780511976667