Surface Code
2 次元格子上の最近接相互作用だけで実装できる誤り訂正符号。 現在最も有力視されている。
構造#
データ量子ビットを格子状に並べ、 その間に測定用の補助量子ビットを置く。
- スタビライザ … 周囲 4 個のデータビットの パリティ
- スタビライザ … 周囲 4 個の パリティ
各スタビライザは隣接する 4 量子ビットにしか作用しない。 これが実装上の決定的な利点で、 超伝導回路のような最近接接続のハードウェアにそのまま載る。
誤り訂正の流れ#
- スタビライザを繰り返し測定する
- 測定値が変化した箇所(シンドローム)を記録する
- デコーダが誤りの位置を推定する(最小重み完全マッチングなど)
- 訂正を適用する(実際にはソフトウェア上で追跡する)
デコードは古典計算で、リアルタイムに間に合う必要がある。 これ自体が工学的な課題になっている。
しきい値#
物理誤り率が約 1% を下回れば、 符号距離 を上げるほど論理誤り率が指数的に下がる。
この 1% という比較的緩いしきい値が、 surface code が有力とされる最大の理由。 他の符号はより厳しいしきい値を要求する。
代償#
- 1 論理量子ビットに の物理量子ビット。 なら 1000 個超
- 横断的に実装できるゲートが限られる。 ゲートには魔法状態蒸留が必要で、これが資源の大半を占める
実験の進展#
Google は 2023 年に距離 5 の符号が距離 3 より 論理誤り率が低いことを示し、 2024 年には距離 7 まで拡張して 符号距離を上げるほど改善する領域に入ったと報告した。
参考文献#
- Austin G. Fowler et al. Surface codes: Towards practical large-scale quantum computation. Physical Review A 86(3), 2012. https://doi.org/10.1103/PhysRevA.86.032324
- Rajeev Acharya et al. (Google Quantum AI). Suppressing quantum errors by scaling a surface code logical qubit. Nature 614, 2023. https://doi.org/10.1038/s41586-022-05434-1
- Rajeev Acharya et al. (Google Quantum AI). Quantum error correction below the surface code threshold. Nature 638, 2025. https://doi.org/10.1038/s41586-024-08449-y