ペナルティ項
制約違反に与える罰。係数 の設定が QUBO 化の成否を決める。
綱引き#
| 起きること | |
|---|---|
| 小さすぎ | 制約を破った方が得になる。実行不可能解が返る |
| 大きすぎ | 目的関数の差が相対的に潰れ、実行可能解の中での優劣が見えなくなる |
後者が特に厄介。制約は満たすが質の悪い解ばかり返る、という形で現れる。
決め方#
理屈の上での下限は、制約を 1 つ破って得られる最大の利得より 大きく取ればよい。
実務では目的関数の係数の最大値やレンジから見積もり、 実行可能解が返るまで段階的に上げる。
数値精度という制約#
量子アニーラやイジングマシンは、 結合係数を有限の精度でしか表現できない。 を大きくすると目的関数側の係数が相対的に小さくなり、 量子化の分解能に埋もれてしまう。
つまり「 を十分大きく取れば安全」は成り立たない。 ハードウェアのダイナミックレンジが実質的な上限を課す。 これは QUBO 定式化がうまくいかない主要な原因のひとつ。
診断#
結果がおかしいとき、次の順で確かめる。
- 返った解は制約を満たしているか → 満たさないなら が小さい
- 満たすが質が悪いか → が大きすぎる可能性
- 係数の最大値と最小値の比は? → ダイナミックレンジ超過の疑い
参考文献#
- Fred Glover, Gary Kochenberger, Yu Du. A Tutorial on Formulating and Using QUBO Models. 2019. https://arxiv.org/abs/1811.11538
- Andrew Lucas. Ising formulations of many NP problems. Frontiers in Physics 2, 2014. https://doi.org/10.3389/fphy.2014.00005