量子もつれ
複数の系の状態が、それぞれの状態のテンソル積に 分解できないこと。エンタングルメント。
何が起きているのか#
もつれた 2 量子ビットでは、 個々のビットの状態が定まらない。 片方だけを見ると完全な混合状態になる。
一方で相関は完全で、片方を測って 0 なら他方も必ず 0。 どれだけ離れていても成り立つ。
超光速通信はできない#
相関はあるが、片方の測定結果を制御できない。 測定結果はランダムなので、それ自体では情報を送れない。 古典通信を併用して初めて意味を持つ(量子テレポーテーション)。
Bell の不等式#
「実は測定前から値が決まっていた」(局所隠れ変数)で 説明できるかを判定する不等式。 量子力学の予測はこれを破る。
Aspect ら、そして 2015 年の抜け穴なし実験によって、 局所実在論は実験的に否定された。 この業績で 2022 年にノーベル物理学賞が授与されている。
計算資源としての意味#
もつれが無ければ、量子状態は効率的に古典シミュレートできる場合がある (Gottesman-Knill 定理は別の条件だが、 テンソルネットワークによる古典シミュレーションはもつれの量に依存する)。
ただしもつれがあれば速い、とは限らない。 もつれは必要条件に近いが十分条件ではない、 というのが現在の理解。
参考文献#
- Michael A. Nielsen, Isaac L. Chuang. Quantum Computation and Quantum Information, 10th Anniversary Edition. Cambridge University Press, 2010. https://doi.org/10.1017/CBO9780511976667
- John S. Bell. On the Einstein Podolsky Rosen paradox. Physics Physique Fizika 1(3), 1964. https://doi.org/10.1103/PhysicsPhysiqueFizika.1.195
- B. Hensen et al. Loophole-free Bell inequality violation using electron spins separated by 1.3 kilometres. Nature 526, 2015. https://doi.org/10.1038/nature15759