フォールトトレラント量子計算

フォールトトレラント量子計算

執筆済 量子誤り訂正

誤り訂正そのものに誤りがあっても、全体として正しく計算できる設計。

なぜ必要か#

素朴に誤り訂正しても不十分。

  • シンドローム測定に使うゲートも誤る
  • 1 つの誤りが複数の量子ビットに伝播しうる
  • 訂正操作自体が新たな誤りを持ち込む

これらを考慮しても計算が成立する構成が要る。

しきい値定理#

物理誤り率が、ある一定のしきい値 pth を下回れば、 任意の長さの計算を任意の精度で実行できる。

必要な資源は polylog(1/ϵ) 程度で、 多項式的なオーバーヘッドに収まる。

p<pth任意精度が可能

これが量子計算が原理的に実現可能であることの理論的な保証で、 1990 年代後半に確立した。

しきい値の値#

符号と誤りモデルに依存する。

符号 しきい値の目安
連結符号 104 程度
Surface code 約 1%

surface code の緩いしきい値が、実装の現実性を大きく高めた。

誤り伝播を止める設計#

同じ符号ブロック内の複数ビットに 1 つの故障が広がらないよう、 横断的なゲート(ブロック間で 1 対 1 に作用)を使う。

U=Un

ただし Eastin-Knill 定理により 万能なゲートセットをすべて横断的にはできず、 魔法状態蒸留のような高コストな補助が要る。

現在地#

しきい値を下回る誤り率は一部の実装で達成されつつあり、 Google は 2024 年に符号距離を上げるほど 論理誤り率が下がる領域に入ったと報告した。

しかし実用的な計算に必要な規模(数百万量子ビット)には まだ遠く、理論的な可能性と工学的な実現の間に大きな隔たりがある

参考文献#

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