量子トンネリング
古典的には越えられない障壁を、量子力学的に通り抜ける現象。 量子アニーリングが 古典の焼きなまし法に 勝ちうるとされる根拠として持ち出される。
主張の中身#
古典の焼きなましは、障壁を越えるのに熱揺らぎを使う。 必要な確率は障壁の高さ で決まる。
量子トンネリングは障壁を通り抜けるので、 確率は高さだけでなく幅 にも依存する。
したがって細くて高い障壁では、量子の方が有利になりうる。
どこまで確かめられているか#
この優位性は、そのように設計された特定の問題では実証されている。 Denchev らは、細く高い障壁を持つよう人工的に作った問題で、 量子アニーラが単一コアのシミュレーテッドアニーリングに対し 倍の高速化を示した。
ただし同じ論文で、より良い古典アルゴリズム (並列テンパリング + クラスタ更新)と比べると差が消えることも報告されている。
つまり「量子トンネリングが起きている」ことと 「実用問題で古典より速い」ことは別の主張。 前者は物理として確認されており、後者は確立していない。
参考文献#
- Vasil S. Denchev et al. What is the Computational Value of Finite-Range Tunneling? Physical Review X 6(3), 2016. https://doi.org/10.1103/PhysRevX.6.031015
- Sergio Boixo et al. Computational multiqubit tunnelling in programmable quantum annealers. Nature Communications 7, 2016. https://doi.org/10.1038/ncomms10327
- Tameem Albash, Daniel A. Lidar. Adiabatic quantum computation. Reviews of Modern Physics 90(1), 2018. https://doi.org/10.1103/RevModPhys.90.015002