冷却スケジュール
温度をどう下げるか。焼きなまし法の性能を実質的に決める部分。
代表的な形#
| 名前 | 式 | 性質 |
|---|---|---|
| 指数冷却 | () | 最も広く使われる。実装が簡単 |
| 線形冷却 | 終盤で 0 に達し、以降は山登り法 | |
| 対数冷却 | 理論保証があるが遅すぎる | |
| 適応冷却 | 受理率を見て調整 | スケールに依存しない |
理論と実用の乖離#
Geman と Geman は、 を満たす冷却なら 確率 1 で大域最適解に収束することを示した。
しかしこの速度は極端に遅い。 を半分にするのに を二乗する必要があり、実用的な時間では終わらない。
そのため実務では指数冷却を使うが、その瞬間に理論保証は失われる。 焼きなまし法は「理論的に保証されたアルゴリズム」ではなく、 「理論に着想を得たヒューリスティック」として運用されている。 論文の主張を読むときはここを区別したい。
再加熱#
温度を単調に下げるだけでなく、停滞したら上げ直す運用もある (reheating、あるいは非単調冷却)。 CMA-ES の再始動や ABC の Scout Bee と同じく、 「行き詰まったら探索側へ戻す」という発想。
参考文献#
- Stuart Geman, Donald Geman. Stochastic Relaxation, Gibbs Distributions, and the Bayesian Restoration of Images. IEEE TPAMI 6(6), 1984. https://doi.org/10.1109/TPAMI.1984.4767596
- Bruce Hajek. Cooling Schedules for Optimal Annealing. Mathematics of Operations Research 13(2), 1988. https://doi.org/10.1287/moor.13.2.311
- Scott Kirkpatrick, C. Daniel Gelatt, Mario P. Vecchi. Optimization by Simulated Annealing. Science 220(4598), 1983. https://doi.org/10.1126/science.220.4598.671