焼きなまし法の改良
素の焼きなまし法は遅い。実務で使うには工夫が要る。
主な方向#
並列テンパリング (replica exchange)
異なる温度のレプリカを同時に走らせ、定期的に状態を交換する。 高温側が広く探索し、低温側が精密化する。 温度スケジュールを事前に決めなくてよいのが利点で、 物理シミュレーションから最適化まで広く使われる。
適応的な温度制御
受理率を目標値(0.2〜0.5 程度)に保つよう を調整する。 温度が 目的関数のスケールに依存する問題を回避できる。
近傍の設計
温度以上に効くことが多い。良い近傍とは
- 1 手で目的関数が大きく変わりすぎない(受理率が保てる)
- 差分だけで評価できる( を再計算しなくてよい)
- 実行可能解の間を移動できる(制約を破らない)
TSP の 2-opt は この 3 つをすべて満たす好例。
量子版#
温度による揺らぎの代わりに量子ゆらぎを使うのが 量子アニーリング。 横磁場の強さを下げていくことで、 トンネル効果によって 細く高い障壁を通り抜けられる、という主張になっている。
これを古典計算機で模倣したのが シミュレーテッド量子アニーリングで、 経路積分表示を使うと実質的に並列テンパリングに近い形になる。
参考文献#
- Robert H. Swendsen, Jian-Sheng Wang. Replica Monte Carlo Simulation of Spin-Glasses. Physical Review Letters 57(21), 1986. https://doi.org/10.1103/PhysRevLett.57.2607
- Koji Hukushima, Koji Nemoto. Exchange Monte Carlo Method and Application to Spin Glass Simulations. Journal of the Physical Society of Japan 65(6), 1996. https://doi.org/10.1143/JPSJ.65.1604
- Holger H. Hoos, Thomas Stützle. Stochastic Local Search: Foundations and Applications. Morgan Kaufmann, 2004. https://doi.org/10.1016/B978-1-55860-872-6.X5016-1