デコヒーレンス
環境との相互作用により、量子的な重ね合わせが失われる現象。
密度行列の非対角成分が減衰することとして記述される。
非対角成分(コヒーレンス)が消えると、 重ね合わせが確率混合に劣化する。 干渉が起きなくなり、古典的に振る舞うようになる。
2 つの時間スケール#
| 記号 | 名前 | 何が起きるか |
|---|---|---|
| エネルギー緩和 | 。励起状態が落ちる | |
| 位相緩和 | 位相の情報が失われる |
一般に 。 実機の性能はこれらの時間と、ゲート時間の比で決まる。 コヒーレンス時間内に何回ゲートをかけられるかが 回路の深さの上限を与える。
なぜ古典世界は古典的か#
デコヒーレンスは、 「マクロな物体はなぜ重ね合わせに見えないのか」への 標準的な説明になっている。 系が大きいほど環境との結合が強く、 デコヒーレンス時間が極端に短くなるため。
猫のようなマクロな系では 秒以下と見積もられ、 観測する余地が無い。
量子計算での意味#
デコヒーレンスは量子計算の最大の敵。 これに対抗する方針が 3 つある。
現在は 1 と 2 の段階にある。
参考文献#
- Wojciech H. Zurek. Decoherence, einselection, and the quantum origins of the classical. Reviews of Modern Physics 75(3), 2003. https://doi.org/10.1103/RevModPhys.75.715
- Michael A. Nielsen, Isaac L. Chuang. Quantum Computation and Quantum Information, 10th Anniversary Edition. Cambridge University Press, 2010. https://doi.org/10.1017/CBO9780511976667
- John Preskill. Quantum Computing in the NISQ era and beyond. Quantum 2, 2018. https://doi.org/10.22331/q-2018-08-06-79