数値安定性
アルゴリズムが誤差をどれだけ増幅するか。
条件数が問題の性質であるのに対し、 安定性はアルゴリズムの性質。両者は独立に議論される。
後退安定性#
計算結果 が、 わずかに摂動した入力に対する厳密解になっていること。
「入力がほんの少し違っていたら、これが正解だった」と言える状態。 数値線形代数で最も重要な品質基準。
誤差の全体像#
- 悪条件な問題は、安定なアルゴリズムでも精度が出ない
- 良条件な問題でも、不安定なアルゴリズムなら壊れる
両方を確かめる必要がある。
安定・不安定の例#
| 不安定 | 安定な代替 |
|---|---|
| ピボットなし LU 分解 | 部分ピボット選択つき LU |
| 古典グラム・シュミット | 修正グラム・シュミット、Householder QR |
| 特性方程式で固有値 | QR 法 |
| で分散 | Welford の逐次法 |
直交変換は条件数が 1 なので誤差を増幅しない。 安定なアルゴリズムが直交変換で組まれているのはこの理由。
参考文献#
- Nicholas J. Higham. Accuracy and Stability of Numerical Algorithms, 2nd ed. SIAM, 2002. https://doi.org/10.1137/1.9780898718027
- Lloyd N. Trefethen, David Bau III. Numerical Linear Algebra. SIAM, 1997. https://doi.org/10.1137/1.9780898719574