ハミルトニアン
系の全エネルギーを表すエルミート演算子。 。
古典力学のハミルトニアン(運動エネルギー + ポテンシャル)を 演算子に置き換えたもの。
2 つの役割#
1. エネルギーの観測量 — 固有値がエネルギー準位。
最小固有値が基底エネルギー。
2. 時間発展の生成子 — シュレディンガー方程式により
がエルミートだから が ユニタリになる。 エネルギーが時間発展を決めるという構造。
量子計算での位置づけ#
| 場面 | ハミルトニアン |
|---|---|
| 量子化学 | 電子と核の相互作用 |
| 最適化 | イジング模型。基底状態が最適解 |
| 量子アニーリング | 初期 から問題 へ連続変形 |
| 量子シミュレーション | を回路で実装 |
「基底状態を求める」という 1 つの問題に、 量子化学も組合せ最適化も帰着する。 これが量子計算の応用が集中している理由。
パウリ分解#
任意のハミルトニアンはパウリ演算子のテンソル積の和に書ける。
VQE では各項を別々に測定するため、 項数がそのまま測定コストになる。 分子ハミルトニアンでは項数が に達し、 これが実用化の障壁のひとつ。
参考文献#
- J. J. Sakurai, Jim Napolitano. Modern Quantum Mechanics, 3rd ed. Cambridge University Press, 2020. https://doi.org/10.1017/9781108587280
- Michael A. Nielsen, Isaac L. Chuang. Quantum Computation and Quantum Information, 10th Anniversary Edition. Cambridge University Press, 2010. https://doi.org/10.1017/CBO9780511976667
- Marco Cerezo et al. Variational quantum algorithms. Nature Reviews Physics 3, 2021. https://doi.org/10.1038/s42254-021-00348-9