Ansatz
試行状態を作る回路の形。 ドイツ語で「approach」「試み」の意。
VQE の性能を最も強く左右する部分。
満たしたい条件#
| 条件 | 内容 | 対立 |
|---|---|---|
| 表現力 | 基底状態を含む範囲を張れる | 深くなる |
| 浅さ | ノイズに耐えられる | 表現力が落ちる |
| 学習しやすさ | 勾配が消えない | 表現力が高いと消えやすい |
この 3 つは同時に満たせないというのが VQE 設計の核心的な難しさ。
2 系統#
問題由来型 — 物理・化学の構造を反映させる。
- UCCSD — 単励起・二重励起を取り込む。化学的に意味が明確。深い
- QAOA — 問題ハミルトニアンとミキサーの交互適用
ハードウェア効率型 — 実機で実行しやすい形を優先する。
浅く作れるが、化学的な意味づけが無く、 barren plateau に陥りやすい。
表現力の逆説#
表現力を上げると(層を深く、ランダムに近くすると)、 状態空間を広く張れる代わりに勾配が指数的に小さくなる。
つまり「到達できるはずだが、辿り着けない」状態になる。 McClean らが示したこの現象が、 Ansatz 設計を単なる表現力の問題でなくしている。
参考文献#
- Marco Cerezo et al. Variational quantum algorithms. Nature Reviews Physics 3, 2021. https://doi.org/10.1038/s42254-021-00348-9
- Jarrod R. McClean et al. Barren plateaus in quantum neural network training landscapes. Nature Communications 9, 2018. https://doi.org/10.1038/s41467-018-07090-4
- Kishor Bharti et al. Noisy intermediate-scale quantum algorithms. Reviews of Modern Physics 94(1), 2022. https://doi.org/10.1103/RevModPhys.94.015004