ハートリー・フォック法
各電子が、他の電子の作る平均的な場の中を動くとする近似。 量子化学の出発点。
Slater 行列式#
多電子波動関数を1 つの行列式で近似する。
行列式の形にすることで、 反対称性(Pauli 原理)が自動的に満たされる。 2 つの電子を入れ替えると行列式の符号が変わるため。
自己無撞着場 (SCF)#
軌道を決めるには他の電子の分布が要り、 他の電子の分布を知るには軌道が要る。 この循環を反復で解く。
- 軌道を仮定する
- 平均場(Fock 演算子)を作る
- 固有値問題を解いて新しい軌道を得る
- 収束するまで繰り返す
収束しないことがあり、実務では初期推定や 収束加速(DIIS)の工夫が要る。
何を取りこぼすか#
平均場近似なので、電子どうしが互いを避ける動きを記述できない。 この不足分が電子相関エネルギー。
全エネルギーの 1% 程度だが、 化学的に意味のある量はほぼこの中に入っている。 だから HF は出発点にすぎず、 その後の相関の取り込みが本番になる。
量子計算での役割#
VQE では、HF 解を初期状態として使うのが標準。
占有軌道に 1、空軌道に 0 を置いた計算基底状態そのもので、 準備が容易。ここから Ansatz で相関を加えていく。
参考文献#
- Attila Szabo, Neil S. Ostlund. Modern Quantum Chemistry. Dover, 1996. https://store.doverpublications.com/products/9780486691862
- Trygve Helgaker, Poul Jørgensen, Jeppe Olsen. Molecular Electronic-Structure Theory. Wiley, 2000. https://doi.org/10.1002/9781119019572
- Sam McArdle et al. Quantum computational chemistry. Reviews of Modern Physics 92(1), 2020. https://doi.org/10.1103/RevModPhys.92.015003