フェルミ・ハバードモデル
格子上の電子の、最小限の模型。
- … ホッピング。隣の格子点へ飛び移る
- … 同じ格子点に上下スピンが同居するときの反発
たった 2 つのパラメータで、金属絶縁体転移、磁性、 そして高温超伝導の候補とされる物理を含む。
なぜ重要なのか#
単純なのに解けない。 1 次元では厳密解があるが、 2 次元では解析解が無く、数値的にも 符号問題により量子モンテカルロが破綻する領域がある。
高温超伝導の機構を説明できるかが数十年の未解決問題で、 凝縮系物理の中心的な題材になっている。
が支配する#
| 領域 | 振る舞い |
|---|---|
| 電子が動きやすい。金属的 | |
| 反発で動けない。Mott 絶縁体 | |
| 中間 | 最も難しい。競合する秩序 |
中間領域では複数の状態がエネルギー的に拮抗し、 静的相関が強い。 古典的な近似手法が最も苦手とするところ。
量子計算の標的として#
分子ハミルトニアンより構造が単純(相互作用が局所的)なので、 項数が にならず、 Trotter 分解も効率的にできる。
このため量子シミュレーションの最初の実用的標的として しばしば挙げられる。冷却原子系による量子シミュレータでも 実験が進んでいる。
参考文献#
- John Hubbard. Electron correlations in narrow energy bands. Proceedings of the Royal Society A 276(1365), 1963. https://doi.org/10.1098/rspa.1963.0204
- Daniel P. Arovas et al. The Hubbard Model. Annual Review of Condensed Matter Physics 13, 2022. https://doi.org/10.1146/annurev-conmatphys-031620-102024
- Sam McArdle et al. Quantum computational chemistry. Reviews of Modern Physics 92(1), 2020. https://doi.org/10.1103/RevModPhys.92.015003