電子状態
分子中の電子の配置と、それに対応する状態。
基底状態と励起状態#
| 状態 | 内容 |
|---|---|
| 基底状態 | 最低エネルギー。通常の分子の状態 |
| 励起状態 | 電子が高い軌道に上がった状態。光吸収などで生じる |
量子計算の文脈で主に狙うのは基底状態。 VQE の変分原理が 最小固有値を対象とするため。
励起状態を求めるには、 直交条件を課す、部分空間展開を使うなどの拡張が要る。
スピン多重度#
電子スピンの組み合わせで状態が分類される。
一重項()、三重項()など。 酸素分子の基底状態が三重項であることが、 その反応性を特徴づけている。
対称性の重要性#
正しい電子状態は、粒子数・スピン・空間対称性を満たす。
ハードウェア効率型 Ansatz は これらの対称性を保証しないため、 物理的にありえない状態に落ちることがある。
対策として
- 対称性を保つ Ansatz を使う(UCCSD など)
- 対称性の破れをペナルティで罰する
- 測定結果を対称性で後処理フィルタする
参考文献#
- Attila Szabo, Neil S. Ostlund. Modern Quantum Chemistry. Dover, 1996. https://store.doverpublications.com/products/9780486691862
- Yudong Cao et al. Quantum Chemistry in the Age of Quantum Computing. Chemical Reviews 119(19), 2019. https://doi.org/10.1021/acs.chemrev.8b00803
- Sam McArdle et al. Quantum computational chemistry. Reviews of Modern Physics 92(1), 2020. https://doi.org/10.1103/RevModPhys.92.015003